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虫刺されの痕からわかる!よくある原因の虫と対処法〜皮膚科医が解説〜

[2025.07.28]

夏になると、虫刺されの相談が皮膚科でも一気に増えてきます。「この腫れは何に刺されたの?」「これはダニ?ノミ?それとも蚊?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

実は、虫刺されの痕や症状の特徴から、ある程度は“何に刺されたのか”を推測することが可能です。この記事では、虫刺されの代表的なパターンと、原因として疑われる虫を皮膚科の観点からわかりやすくご紹介します。

 

  1. 虫刺されとは?

医学的には「虫刺症(ちゅうししょう)」や「昆虫咬刺症(こんちゅうこうししょう)」と呼ばれます。虫の種類によって、刺すのか咬むのかでも反応が異なります。

  • 刺す虫:蚊、ハチ、ブユ、アブなど
  • 咬む虫:ノミ、ダニ、トコジラミなど

人によって反応の強さは異なりますが、虫の種類ごとに「腫れ方」「かゆみの出方」「出現する時間帯」などにある程度パターンがあります。

 

  1. 虫刺され痕の特徴別!虫の種類の見分け方

① 蚊(カ)

  • 痕の特徴:1つ〜数個の小さな赤い膨らみ(膨疹)。強いかゆみが出て、数時間〜数日でおさまる。
  • 出現時間:夕方〜夜間
  • 部位:露出部が多い(腕・脚・顔など)
  • その他:反応が比較的軽い

② ブユ(ブヨ)

  • 痕の特徴:刺された瞬間は気づきにくく、数時間後に強い腫れと激しいかゆみ・痛みが出る。水ぶくれや内出血になることも。
  • 出現時間:朝〜夕方
  • 部位:足首まわりや露出部
  • その他:山や川沿いで活動する人に多い

 

 

 

 

③ アブ

  • 痕の特徴:咬まれた部分が硬く腫れる。強い痛みと発赤、かゆみ。
  • 出現時間:日中
  • 部位:露出部
  • その他:刺された瞬間が痛い。血を吸うため流血することも。

 

 

④ ハチ

  • 痕の特徴:即座に激しい痛み・腫れ・赤み。患部が熱を持つ。アナフィラキシーの危険もあり要注意。
  • 出現時間:日中、特に初秋
  • 部位:全身どこでも
  • その他:過去に刺されたことがあると重症化リスクあり

 

 

 

⑤ ノミ

  • 痕の特徴小さな赤い点状の発疹が数個〜十数個。非常にかゆい。時に中央が黒っぽくなる。
  • 出現時間:寝ている間〜朝方
  • 部位足首〜膝下が多い
  • その他:ペットがいる家庭、古い畳やカーペットで増殖

 

 

 

 

 

 

 

⑥ ツメダニ

  • 痕の特徴:直径5〜10mmほどの赤い丘疹。1週間ほどかゆみが続く。
  • 出現時間:夜間に活動
  • 部位下腹部・太もも・二の腕など衣服内
  • その他:梅雨〜夏場の布団、畳に生息

 

 

 

 

 

 

 

⑦ トコジラミ(南京虫)

  • 痕の特徴直線状や帯状に複数の赤い腫れが出ることが多い。強いかゆみ。
  • 出現時間:夜間に刺される
  • 部位:腕・脚・背中など露出部以外も
  • その他:海外旅行者、古い宿泊施設などから持ち込まれることあり

 

 

 

 

  1. 皮膚科に受診すべき症状とは?

以下のような症状がある場合は、自己判断せず皮膚科受診をおすすめします。

  • 刺された部位が強く腫れる、熱をもっている
  • 痛みが続く、もしくは水ぶくれ・膿が出てきた
  • 複数箇所に同じような腫れがある
  • 発熱、めまい、吐き気など全身症状が出てきた
  • 虫の種類が特定できず、症状が長引いている

 

  1. 虫刺されの治療法

一般的な対処

  • 冷却:患部を冷やすことでかゆみ・炎症を抑える
  • 市販薬の使用:かゆみ止め軟膏(抗ヒスタミン、ステロイド含有)
  • 清潔に保つ:掻き壊さないように注意

皮膚科での治療

  • ステロイド外用薬:中〜強めのものを使うことが多い
  • 内服薬:かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬、腫れが強ければステロイド内服も
  • 二次感染の治療:膿や赤みが強ければ抗生剤を追加

 

  1. 予防と生活上の注意点
  • 虫よけスプレーを活用する(ディート、イカリジン含有)
  • 肌の露出を避ける
  • 布団や畳、ペットのケアを怠らない
  • 旅行後の衣類や荷物チェック(特にトコジラミ)

 

  1. まとめ:虫刺されの痕は“ヒントの宝庫”!

虫刺されといっても、実にさまざまな種類があり、刺された痕の「大きさ」「数」「出現する部位」「症状の時間経過」から、ある程度は犯人(虫)を推測することができます。

ただし、同じ虫でも反応の出方には個人差がありますし、痕だけでは判断しきれないことも多いのが実情です。皮膚科では症状の経過や既往歴、環境なども含めて診断し、適切な治療を行います。

気になる虫刺されがあれば、放置せず、ぜひ一度当院までご相談ください。

 

💡 虫刺されFAQ:皮膚科医がよく聞かれる質問

Q1. 妊娠中でも虫刺されの薬は使っても大丈夫?

  1. 基本的にはOKですが注意が必要です。
    軽度であれば市販の抗ヒスタミン軟膏(非ステロイド)を。かゆみが強い場合は弱めのステロイド外用剤(プレドニゾロン酢酸エステルなど)が推奨されます。長期間・広範囲の使用は避けて下さい。

Q2. 小さな子供が蚊に刺されてひどく腫れました。何か特別な対処法はありますか?

  1. 子供は虫刺されに強く反応する傾向があります。
    「蚊アレルギー(蚊刺過敏症)」の場合、ステロイド外用や抗アレルギー薬の内服が必要なことも。強い腫れや水ぶくれがあるときは、自己判断せず受診を。なお、掻き壊しによるとびひ(二次感染)にも注意。抗生剤内服が必要な場合があります。

Q3. ステロイドを使うのが不安なのですが…

  1. 適切に使えば非常に有効で安全です。
    虫刺されの炎症は免疫反応なので、ステロイドは根本的な炎症を抑えてくれます。症状に応じて強さを選び、短期間で使うことが基本です。市販薬より医師の処方を受けた方が適切な選択が可能です。

Q4. ステロイド軟膏と市販の「ムヒ」や「キンカン」はどう違う?

  1. 市販の多くの薬は抗ヒスタミンや清涼感を主とした“対症療法”です。
    一方、ステロイドは炎症そのものを抑える治療薬で、赤みや腫れが強い場合はより効果的。ムヒやキンカンも軽度のかゆみなら有用ですが、長引く症状にはステロイド外用の方が確実です。

Q5. 冷やす・温める、どっちが正しい?

  1. 原則は「冷やす」が正解。
    かゆみや炎症を抑えるためにはアイスノンや冷たいタオルで冷却を。温めると血行が良くなり、かえって症状が悪化することがあります。ただし、一部のダニやノミ対策には寝具や部屋の「熱処理」が有効です(物理的駆除)。

 

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