年齢とともに現れる肌の変化――「加齢性のシミ」と「肝斑」の違いとは?
年齢を重ねるごとに気になってくる“肌のくすみ”や“シミ”。ふと鏡を見たときに、「あれ、こんなところにシミが?」と驚いた経験がある方も多いのではないでしょうか。
中でもよく耳にするのが「加齢性のシミ」と「肝斑(かんぱん)」です。どちらも茶色っぽい色素沈着ですが、原因も治療法も異なります。
今回は、この2つのシミについて、皮膚科の視点からわかりやすくご紹介します。
また当院で行っている施術や費用についてもご紹介いたします。
加齢性のシミ――“老人性色素斑”とも呼ばれる日焼けの名残
- 特徴
加齢性のシミは、医学的には「老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)」と呼ばれ、紫外線による肌ダメージが主な原因です。長年の紫外線の蓄積がある年齢層に多く、30代後半から徐々に目立ってきます。
見た目は、頬やこめかみ、手の甲などにできる、境目のはっきりした丸い茶色の斑点。大きさは数ミリから数センチまでさまざまで、通常は平らですが、長年放置すると盛り上がることもあり、その場合は「イボ」に近い状態となります。
- 原因
最大の要因は紫外線です。日焼けを繰り返すことで、皮膚のメラノサイト(メラニンをつくる細胞)が活性化し、メラニン色素が過剰に作られます。本来であればターンオーバーで排出されるはずのメラニンが、年齢とともに代謝が低下することで肌に残り、シミとして定着してしまうのです。
- 治療法
皮膚科では、主に以下の治療が行われます。
- レーザー治療(ピコレーザーなど):シミの色素を選択的に破壊する。
- 内服薬(シナール、ユベラなど):メラニンの合成を抑えたり、排出を促す。
- 外用薬(ハイドロキノン、トレチノインなど):メラニンの合成を抑える。
- IPL(光治療):レーザーよりもマイルドな治療で、肌全体の色むらを改善。
ピコレーザーは、加齢性のシミには高い効果を発揮します。内服薬・外用薬・紫外線予防をして頂くことが前提ですが、一度の照射で平均7~8割薄くなるとされます。
注意点としては、①最大1-2週間はかさぶたとなってしまうこと②シミの経過としては直後にやや濃くなること③2週間後に一旦は薄くなり、1か月後に再度濃くなった後、3か月から半年かけて薄くなることがあります。
肝斑――女性ホルモンと関係の深い“ぼやっと広がるシミ”
- 特徴
肝斑は、30〜50代の女性に多く見られ、特に頬骨のあたり、額、口のまわりなどに左右対称に広がる、ぼんやりとした茶色いシミです。見た目が加齢性のシミと似ているため混同されがちですが、肝斑は境目があいまいで、広範囲に広がっていることが特徴です。
- 原因
肝斑の発症には、以下の要因が関わっています:
- 女性ホルモンの変動(妊娠・ピルの使用・更年期など)
- 紫外線
- 摩擦(強いクレンジングやタオルでのこすりすぎ)
- ストレスや睡眠不足
女性ホルモンの影響が強いため、妊娠中や閉経前後に悪化するケースが多くみられます。
- 治療法
肝斑の治療は、加齢性のシミと大きく異なります。レーザー治療は逆効果となることがあり、悪化する可能性があるため注意が必要です。
一般的な治療法は次の通りです:
- 内服薬(トラネキサム酸):メラニンの産生を抑える。
- 外用薬(ハイドロキノン、ビタミンC誘導体など):メラニンの合成を抑える。
- ピーリング:ターンオーバーを促進し、くすみを改善。
- トーニング:マイルドな治療で肌全体の色むらを改善。
肝斑は根気よく治療を継続することが大切で、半年以上かけてじっくり改善していきます。肝斑に有効なレーザーとしてはトーニングがありますが、マイルドな治療なため、5、6回施行し肌のトーンアップが実感できるような治療となります。
シミ治療で大切なこと――自己判断はNG!
シミ治療でよくある失敗は、「市販の美白化粧品やネット情報だけで自己判断してしまうこと」。加齢性のシミと肝斑では、見た目が似ていても原因や治療法が異なるため、間違ったケアは悪化を招くおそれがあります。
特に肝斑に対して強力なレーザー治療を行うと、炎症が起こって色素沈着がひどくなったり、治療が長引いたりすることがあります。正しい診断と、肌に合った治療プランを立てることが重要です。
当院での価格表
まとめ:肌のシミは、年齢の“履歴書”
シミは、これまでの肌の歴史を物語るような存在ですが、早めのケアと専門的な治療によって、その印象は大きく変わります。
「なんとなく気になるシミがある」「スキンケアでは限界を感じる」――そんなときは、ぜひ一度、当院を受診してみてください。
自分の肌をよく知り、正しくケアすることが、美しく年齢を重ねる第一歩です。