眼瞼下垂(がんけんかすい)とは?目が重い、眠たそう…その原因は?|形成外科専門医がわかりやすく解説します
「なんとなく目が開きづらい」「鏡を見ると、いつも眠たそうな顔に見える」…
そんなお悩みを持っている方は、もしかしたら「眼瞼下垂(がんけんかすい)」かもしれません。
眼瞼下垂は、まぶたが本来の位置よりも下がってしまう状態で、見た目の印象だけでなく、視界の妨げや頭痛、肩こりなど、
身体にも様々な不調を引き起こすことがあります。この記事では、眼瞼下垂の原因や症状、治療法、手術の詳細、保険適用の有無、美容的なメリットまで、
専門医がわかりやすく解説します。
- 眼瞼下垂とは? ─ まぶたが下がる病気
眼瞼下垂とは、上まぶたが下がって目が開きづらくなる状態を指します。
一般的に、黒目(瞳孔)にまぶたがかぶって視界を妨げるような状態になると、「眼瞼下垂」と診断されます。
正常なまぶたの位置は?
正常な状態では、上まぶたの縁は黒目の上の端(上縁)に軽くかかる程度ですが、眼瞼下垂になると、それよりもまぶたが下がり、黒目を覆ってしまいます。
- どんな症状が出るの?
眼瞼下垂には、見た目の変化だけでなく、体調や生活の質にかかわる様々な症状が出てきます。
主な症状
- 目が開きにくい、重たい感覚がある
- 額(おでこ)の筋肉を使ってまぶたを持ち上げようとするため、額にシワができやすくなる
- 視界が狭くなる(特に上方向)
- 肩こりや頭痛が慢性的に起こる
- 眠たそう・不機嫌そうに見える
- 二重幅の左右差が目立つ、二重が消える
- 目を細める、眉を持ち上げる癖がつく
これらの症状は、日常生活におけるストレスにもつながります。
- 原因は? ─ 加齢だけじゃない
眼瞼下垂には、さまざまな原因があります。
① 加齢(後天性眼瞼下垂)
最も多いのが、加齢に伴う筋力の低下や腱膜のゆるみ。
まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の力が弱まり、皮膚もたるんでくるため、徐々にまぶたが下がってきます。
② ハードコンタクトレンズの長期使用
毎日の着脱時にまぶたを引っ張ることや、コンタクトによる摩擦・刺激が積み重なり、挙筋腱膜が伸びたり外れたりすることがあります。若い世代にも増えてきているタイプです。
③ 先天性(生まれつき)
生まれつき眼瞼挙筋が未発達、あるいは動きが弱い場合に起こります。片目だけに起こることもあります。
④ 外傷・術後・神経の障害
事故や手術によるまぶた周辺の損傷、脳や神経の異常によって起こることもあります。これらは「神経性眼瞼下垂」とも呼ばれ、早期の専門的診断が必要です。
- どんな人がなりやすい?
- 40代以降の男女(加齢による下垂)
- 長年ハードコンタクトレンズを使っている人
- 慢性的な目の疲れや肩こりがある人
- 二重幅が狭くなってきたと感じる人
- 額や眉のシワが気になる人
- 眠たそうな顔と言われる人
これらに当てはまる方は、一度専門医の診察を受けてみるのも良いかもしれません。
- 治療方法 ─ 基本は「手術」
眼瞼下垂の治療は、手術による改善が基本です。
原因やまぶたの状態によって、いくつかの手術法が使い分けられます。
主な術式
◎ 挙筋前転法(きょきんぜんてんほう)
最も一般的な手術方法で、緩んだ挙筋腱膜を短縮・再固定することで、まぶたを引き上げやすくします。目の際から数mmの所を切開して手術を行い、併せて二重も作成します。
◎ ミュラー筋短縮術
比較的軽度の下垂に用いられる術式で、まぶたの裏側(結膜側)からミュラー筋という筋肉を短縮して引き上げます。ダウンタイムが少ないのが特徴。
◎ 眉毛下皮膚切除(上眼瞼皮膚切除)
まぶたのたるみが主な原因で、筋力の問題が軽い場合には、余分な皮膚を切除することで改善が期待できます。眉毛の真下(場合によっては一部眉毛の中)を切開します。
- 手術の流れとダウンタイム
✅ 手術前の診察
視野の検査や筋肉の動き、筋肉の強さの確認、左右差の有無の確認を行い、適切な術式を判断します。
✅ 手術当日
局所麻酔を使用し、手術時間は片目で約45分程度。バランスを確認しながら行うため、両目同時に行う事を推奨しています。
✅ ダウンタイム
- 術後1〜2週間は腫れ・内出血が出ることがある
- 目元の違和感は1〜2週間で落ち着く
- 抜糸は5~7日後
- 日常生活への復帰は早ければ翌日から可能
- 保険適用と自由診療の違い
眼瞼下垂の手術は、「視野障害」や「日常生活への支障」が認められた場合、保険が適用されます。逆に、「眠たそうに見えるのを改善したい」「左右差を整えたい」など、
美容目的の場合は自由診療となります。
- 手術のメリット・デメリット
◎ メリット
- 視界が広くなり、目の疲れが軽減する
- 額のシワが減る(おでこの筋肉を使わなくなるため)
- 表情が明るく見える、若々しい印象に
- 二重のラインがくっきり戻ることも
- 肩こり・頭痛が改善されることもある
△ デメリット・リスク
- 腫れや内出血、左右差のリスク
- 傷跡がしばらく目立つことがある(1か月ほど赤みは続き、3~6か月ほど茶色味が残る事がございます)
- 再発の可能性(額の筋肉で目を開ける癖がある人は再発しやすい)
- 美容目的の眼瞼下垂手術とは?
近年は、「保険適用では難しいけれど、美容面を整えたい」という方のために、美容外科・美容皮膚科での自由診療による眼瞼下垂手術も増えています。
この場合、見た目の美しさや左右のバランス、二重の形を重視して手術が行われます。
「若々しい印象を取り戻したい」「写真写りが悪くなった」といったお悩みにも応えることができます。
- まとめ:目元の違和感は我慢しないで
眼瞼下垂は、見た目の印象だけでなく、日常生活の快適さや体の不調にも深く関係している症状です。「ただのたるみかな?」と思って放置していると、肩こりや頭痛、視力の低下など、思わぬ不調につながることもあります。
気になる方は、ぜひ形成外科専門医のいる当院での相談をおすすめします。
保険適用か自由診療かは症状の程度によるので、まずは一度御診察にいらして下さい。
目元は顔の印象を大きく左右するパーツ。
心身ともに軽やかで、明るい目元を取り戻してみませんか?