水虫
1.水虫とは?
水虫(みずむし)は、皮膚の表面に白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が感染して起こる皮膚の病気です。白癬菌は皮膚の角質(表面のたんぱく質層)を栄養にして増殖します。そのため、皮膚の表面にかゆみや皮むけ、水ぶくれ、ひび割れなどの症状が出ます。水虫は感染症であり、自然に治ることはほとんどありません。適切な治療と生活習慣の見直しが必要です。
2.水虫の原因と感染経路
■原因菌:白癬菌
白癬菌はカビ(真菌)の一種で、人の皮膚・毛・爪などに寄生して増殖します。特に、温度と湿度が高く、汗をかきやすい環境で増えやすいのが特徴です。
■感染のしくみ
白癬菌は、感染者の皮膚の一部(角質)が落ちたものを通じて、他人の皮膚にうつることがあります。以下のような場面で感染することがあります:
- 共用のスリッパやバスマット
- 温泉・銭湯・スポーツジムのシャワー室
- 家族内でのタオルや足ふきマットの共用
白癬菌が皮膚に付着しても、すぐに感染するとは限らず、付着したまま一定時間が経過して皮膚に入り込んだ場合に発症します。
■感染しやすい条件
- 長時間靴を履きっぱなしで蒸れる
- 足をあまり洗わない・拭かない
- 免疫力の低下
- 高齢者や糖尿病の人
- 家族に水虫の人がいる
3.水虫の種類と症状
水虫にはいくつかのタイプがあり、症状も異なります。
【1】趾間型(しかんがた)
もっとも一般的なタイプで、足の指の間にできる水虫です。
症状:
- 指の間が赤くなり、かゆみが出る
- 皮がむけてジュクジュクする
- ひび割れや痛みが出ることもある
【2】小水疱型(しょうすいほうがた)
足の裏や側面に小さな水ぶくれ(水疱)ができるタイプ。
症状:
- 小さな水疱ができて強いかゆみが出る
- 水疱が破れて皮がむけることがある
- 汗をかく季節(梅雨~夏)に悪化しやすい
【3】角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
足の裏全体の角質が厚くなり、かかとがガサガサになるタイプ。
症状:
- 足裏が全体的に硬くなり、粉を吹いたようになる
- かゆみは少ないが、放置されやすい
【4】爪白癬(つめはくせん)=爪水虫
水虫の白癬菌が爪にまで入り込んだ状態です。
症状:
- 爪が白く濁る、厚くなる、もろくなる
- 痛みは少ないが、見た目に影響が大きい
- 完治には時間がかかる(半年~1年以上)
4.水虫の診断方法
水虫の見た目だけで判断するのは難しく、他の皮膚病(湿疹、汗疱など)との区別が必要です。
■顕微鏡検査(KOH検査)
皮膚の一部(皮むけや角質)を採取し、顕微鏡で白癬菌がいるかを確認する方法。もっとも一般的な検査です。
■抗原検査
採取した検体に特殊な試薬を用いて、白癬菌の有無を調べる検査です。結果が出るまでに5~10分程かかりますが確実性が高いとされています。
5.水虫の治療
■基本は「抗真菌薬」による治療
水虫は放置しても治りません。白癬菌に効く薬(抗真菌薬)を根気よく使うことが治療の基本です。
【1】外用薬(塗り薬)
軽度〜中程度の水虫には塗り薬が第一選択になります。
ポイント:
- かゆみや皮むけが消えてもすぐにやめないこと!
- 最低でも3か月以上、医師の指示に従って塗り続けましょう
【2】内服薬(飲み薬)
爪白癬や広範囲にわたる角質増殖型水虫には、内服薬が用いられることがあります。
※肝機能や他の薬との飲み合わせに注意が必要なため、医師の管理下で使用されます。
6.日常生活での注意と予防法
水虫は治療と同じくらい、生活習慣の見直しと予防が大切です。
■足を清潔に保つ
- 毎日石けんで足を丁寧に洗う
- 指の間までしっかり拭いて乾燥させる
■通気性の良い靴・靴下を選ぶ
- 合成皮革や長時間密閉される靴は避ける
- 靴下は吸湿性・通気性に優れた綿素材を
■靴は毎日変える・乾かす
- 同じ靴を毎日履かず、1日置きに乾かす
- インソールや中敷きを交換・洗濯する
■家庭内感染の防止
- 足ふきマット・スリッパは個別に
- 共有スペースは清潔に保つ
- 家族に水虫の人がいたら、全員がケアを
7.水虫と似た症状に注意!
水虫とよく似た症状の皮膚病も多く、自己判断では誤ることがあります。
病名 | 主な違い |
汗疱(かんぽう) | 水ぶくれが出るが、白癬菌はなし |
接触皮膚炎 | アレルギー反応。かゆみと赤みが強い |
掌蹠膿疱症 | 手足に膿をもったブツブツができる |
乾癬(かんせん) | 銀白色のうろこ状の皮むけがある |
症状が長引いたり、広がったりする場合は、顕微鏡検査を受けて正しい診断を受けることが大切です。
8.よくある質問(Q&A)
Q.かゆみがない水虫もある?
A.はい、特に角質増殖型水虫ではかゆみがないことも多いため、気づかずに長期間放置されるケースがあります。
Q.爪水虫は治せる?
A.爪水虫は時間がかかりますが、内服薬や外用薬の継続使用で治療可能です。完全な治癒には半年〜1年以上かかることも。
Q.子どもにも水虫はうつる?
A.はい。感染経路があれば子どもでも水虫になります。家庭内感染に注意しましょう。
Q.市販薬で治る?
A.軽度の水虫であれば、市販薬でも効果があります。ただし、自己判断で使うのではなく、症状に合った薬を選ぶことが重要です。心配な場合は皮膚科を受診しましょう。
おわりに:水虫は「しつこいけれど治せる病気」
水虫は不快で根強い皮膚病ですが、正しい診断と治療、そして生活改善をすれば、しっかり治すことができます。
ただし、途中で治ったように見えても白癬菌が完全に消えていないことがあるため、最後まで根気強く治療を続けることが大切です。
水虫を「恥ずかしい」「誰にも言えない」と放っておくのではなく、正しく対処して、快適で清潔な足元を保ちましょう。気になる症状がございましたら、いつでも当院へご相談下さい。