手湿疹
手湿疹(手荒れ)とは?
手湿疹とは、手のひらや指、手の甲などにかゆみや赤み、水ぶくれ、ひび割れなどの症状があらわれる皮膚の病気です。「主婦湿疹」や「手荒れ」とも呼ばれ、特に水仕事をする方や手をよく使う仕事の方に多く見られます。
主な症状
- 手の乾燥
- 赤み(紅斑)、かゆみ
- 小さな水ぶくれ(小水疱)
- 皮膚のめくれ(落屑)
- ひび割れ(亀裂)
- ごわつき(皮膚が硬くなる)
症状は人によって異なりますが、慢性化すると皮膚が厚くなり、割れやすくなるなど、日常生活にも支障が出ることがあります。
手湿疹の原因
手湿疹はさまざまな刺激やアレルギーが関係しています。主な原因は以下の通りです。
1.外的刺激(刺激性)
- 石けん・洗剤・シャンプー
- アルコール消毒
- 水(頻繁な手洗い)
- ゴム手袋の着用による蒸れ
- 紙や布などによる摩擦
これらは皮膚のバリア機能を低下させ、湿疹の原因になります。
2. アレルギー(アレルゲン)
- 金属(例:ニッケル)
- ゴム(ラテックス)
- 香料や防腐剤
- 染料や化学物質
感作(アレルギーの原因物質に対する体の反応)がある場合、少しの接触でも反応して湿疹を引き起こすことがあります。
3.職業や環境
- 美容師、看護師、飲食業、清掃業など、手を酷使する職業の方に多く見られます。
- 冬場など乾燥した季節に悪化しやすくなります。
手湿疹の種類
1.刺激性接触皮膚炎
もっとも一般的なタイプ。洗剤や水などの外的刺激によって引き起こされます。
2.アレルギー性接触皮膚炎
ある特定の物質に対してアレルギー反応を起こすタイプ。パッチテストで原因物質を調べることがあります。
3.汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)
春から夏にかけて出やすく、小さな水ぶくれがたくさんできるタイプ。ストレスや汗の刺激が関与すると言われています。
治療法
1.外用薬・貼り薬(塗り薬)
- ステロイド外用薬(炎症を抑える)
- 保湿剤(バリア機能を回復)
- 亀裂がひどく痛みが強い場合は、ステロイド含有テープを貼付する場合もあります。
2.内服薬(飲み薬)
- 抗ヒスタミン薬(かゆみを抑える)
- 重症の場合は、ステロイドや免疫抑制剤が処方されることもあります。
3.原因除去・回避
- 原因となる物質に触れないようにする(アレルギー性の場合は特に重要)
- 手袋の着用や手洗いの方法を見直す
日常生活での予防とケア
手を守るために
- 水や洗剤を扱うときはゴム手袋の中に綿手袋を重ねて着用
- 手洗いの後はすぐに保湿剤を塗る
- アルコール消毒が多い環境では保湿をこまめに行う
- 石けんや洗剤は刺激の少ないものを選ぶ
習慣の見直し
- 手を洗う回数を減らす(必要最低限に)
- お湯での手洗いは避け、ぬるま湯でやさしく洗う
- タオルでゴシゴシこすらず、押さえるように水気を取る
いつ皮膚科を受診すべき?
- かゆみや痛みが強い
- ひび割れや出血がある
- 市販の薬で改善しない
- 症状が繰り返す・長引く
放置すると悪化したり、慢性化して治りにくくなる場合もあります。早めの受診・治療が大切です。
まとめ
手湿疹は、手のバリア機能が壊れることで起こりやすく、生活環境や職業、アレルギーなどが関係しています。日常のケアと正しい治療、そして予防が重要です。手荒れを「しかたない」と我慢せず、気になる症状がございましたら、いつでも当院へご相談下さい。